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マナー&印象クリエーターの砂田ちなつです
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日本の伝統的な作法には、相手に対して「敵愾心(てきがいしん)がなく、信頼している」という意味を込めた振る舞いが数多く存在します。その中でも、座布団を外すという行為が特に注目されます。なぜ座布団を外すことが信頼の表れとされるのでしょうか。
今日は座布団のマナーについてお伝えします。
■信頼と敬意の表現
座布団を外す行為には、昔の日本人の知恵と家庭の安全にまつわる歴史が結びついています。かつては畳の下に潜む敵による襲撃の危険性がありました。家の主が危害を加えたい相手を室内に招き入れ、畳の下から突然襲うことがあったのです。座布団はそのような場合に足を保護する役割を果たしていました。もしも初めの一撃で足に大けがを負ってしまえば、逃げることもままなりません。罠にかかり、敵のとどめを刺されてしまうでしょう。
ですから、座布団を外す行為は「あなたを信用しています」という強いメッセージを伝えるものとされています。家の主に対してへりくだる姿勢を示すと同時に、無防備な状態に身を置くことで、互いに下心がないことを確認し合うのです。相手に対する敵意や警戒心を解き放ち、心を開いて接することができます。
■座布団のマナー
現代の日本では家庭内での襲撃の心配は少なくなりましたが、この座布団の作法は信頼と敬意を表す重要な習慣として受け継がれています。それは相手を歓迎し、互いに心を通わせるための方法なのです。
また、座布団の使い方にも一定のルールがあります。訪ねた家で和室に通された場合、座布団を敷かずに正座し、膝の前に両手をついて頭を下げて家の主に挨拶するのが正しい振る舞いとされています。座布団を敷いて座るのは、挨拶の後に主から
「どうぞ当ててください」といった案内があった後に座布団を敷くようにします。
■座布団の正しい向き
座布団を敷く際には、縫い目のない一辺を前にして座るのが正しい向きとされています。座布団は布を半分に折って三辺を縫い合わせて作られており、一辺だけが輪になっています。その輪の部分を前にして座ることが作法に沿った座り方とされています。
■座布団の原型は平安時代から
なお、現在の座布団は江戸時代に綿が普及してから使われるようになりました。綿を詰めた寝具である布団が広まり、同じように綿を使った座布団も使用されるようになったのです。
座布団の原型は、平安時代から存在していた「褥(しとね)」と呼ばれるものです。藁で作られた褥は、むしろを芯にして布で包み、大きな四角い敷物として使用されていました。また、菅(すげ)や藁を使った「円座」という丸い敷物も使用されていました。
■座布団の作法と信頼関係
和室のない家庭で育った人にとっては、座布団の作法は馴染みのないものかもしれません。しかし、座布団の作法は特別な機会に限定されたものではありません。日本の伝統的な挨拶や接待の場で広く守られてきた作法であり、相手に対する敬意や信頼を示す重要な要素となっています。
座布団の作法は、昔の知恵と現代の社会での信頼関係を築くためのヒントを教えてくれます。相手を思いやり、敬意をもって接する姿勢は、今日の日本社会でも大切にされるべき価値です。座布団の上でお互いの心を通わせ、安心感と信頼を育むことができるのです。
参考書籍 日本人の美しい和のふるまい 河出書房新社 藤野紘著
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