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マナー&印象クリエーターの砂田ちなつです
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他人のお宅を正式に訪問する際に扇子を持って行くことをご存知ですか?和服を着る機会が減った現代では、この作法も忘れられつつありますが、実は扇子は相手への信頼を示す重要なアイテムなのです。
今日は扇子の役割についてお話しいたします。
■扇子を前に置く意味とは?
和室に通されて正式な挨拶をする際には、座布団を外して正座をし、膝の前に扇子を置くのが礼儀正しいやり方です。そして、扇子の柄は右に横置きにしてお辞儀をします。なぜなら、扇子は武器としても使われた道具だからだと言われています。
竹の骨に紙を張った扇子では戦うことはできませんが、かつての武士たちは「鉄扇」と呼ばれる、実際に戦闘に使える扇子を常に持ち歩いていました。これは優雅な小道具ではなく、鉄でできた自衛用の武器なのです。もし刀で切り付けられた場合、扇子がその刃を受け止める道具としても役立ちますし、反撃する際にも使えるのです。
そのため、扇子を前に置くという行為は、武器を置くことで敵意のない気持ちを表すことになります。同時に、相手への信頼も示すことができます。つまり、警戒心のある相手に対して恭順の意を示すために、この作法が広まったのです。武家の礼法が一般的なお宅訪問の際の作法となったわけですね。
■扇子の役割:領域区切りと謙虚さ
厳密に言うと、この作法は武家が編み出したものではなく、公卿の作法にのっとって室町時代に定着したものと言われています。当時の公卿が使っていた扇子は、鉄扇ではなく、檜扇や中啓(ちゅうけい)と呼ばれるもので、帯に挟んだり腰に挿したりせず、手に持つタイプでした。テレビの時代劇でも公卿が扇を手にしているシーンを見たことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
扇を手に持ったままでは挨拶がしにくいため、自然と膝の前に置くようになったと言われています。また、扇を使って相手と自分の領域を区切り、謙虚な姿勢を示す意味もあるとされています。いずれにせよ、扇子は日本人の生活に溶け込み、時代や身分、状況に合わせた使い方がされてきました。開くことで心を開くとされ、縁起の良いものとも考えられていたのです。
参考:日本人の美しい和のふるまい 河出書房新社 藤野紘
着物を着て正式な挨拶をする機会は今ではなかなか無いとは思いますが、そのような機会が訪れた時にはぜひ扇子を持って行ってみてくださいね。
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